『人に頼む技術 コロンビア大学の嫌な顔されずに人を動かす科学』(ハイディ・グラント、徳間書店)を読みました。
頼みごとをするのがなんで難しいか、どうやったらうまく人に動いてもらえるかってことのヒント、がありました。
○他人に何かを頼むのがなんか気まずい…
○頼みごとをするときに、すごく申し訳なく感じてしまう…
○なかなか頼みを聞いてもらえない…
そんな人に読んでもらって、参考にしてもらえれば嬉しいです。
- 頼みごとをするのが気まずい理由
- 頼まれた側のメリット
- うまくお願いする方法
についてメモしていきます。
人に頼みごとをするのが気まずい理由。
人に頼みごとをするのが気まずいのは、「頼む」という行為によって、社会的な5つの脅威を体験する可能性があるからだ、と本のなかでは書かれています。ざっくりというと、自分にとってよくないことが起こるかもしれないからということです。
その5つが、
・ステータスへの脅威
・確実性への脅威
・自律性への脅威
・関係性への脅威
・公平性への脅威
ステータス→自分の重要性や価値の認識
確実性→未来の予測、何が怒るだろうかということ。
自律性→自分で物事をコントロールしたい、できている、という感覚のこと。
関係性→何かの集団や他者との繋がりのこと。
公平性→公平に扱われたい。
これらの人間が大切にしていることが、頼みごとをすることによって、脅かされる可能性があるから、頼みごとは気まずいとのこと。
たとえば、
誰かに頼みごとをするというときには、
そのことが自分の能力では解決できないこと(だから人に頼む)→自分のステータスが下がる(と感じられる)
実際にやってくれるかわからない→確実性に影響
相手に主導権があったりすると→自律性に影響
もし、断られたら…→関係性や公平性に影響
でも、こういったことは、本書を読んで、うまく人の力を借りる方法を学んだり、頼まれた側の心理を学んでいくことで、改善していくことができると思います。
頼まれた側のメリット
頼みごとをするということは一見すると、「頼んだ側」、つまり助けてもらう側にしかメリットがないように思えます。だから、なんか申し訳ない気分になったり、自分のことしか考えてないような気がして、頼みづらくなるってこともあるのではないでしょうか。
でも、実は、頼まれた側にもメリットがあるんです。
まず初めに、基本的に人は「誰かを助けたいと」考えている、ということを知っておくといいと思います。
本の中で、コーネル大学の組織行動学教授バネッサ・ボーンズさんが行った実験が紹介されています。
内容は、次のとおり。
・学生たちにキャンパスで「スカベンジャーハント」という、ヒントを探しながら目的にたどり着くゲームをしてもらう。
・このゲームの中で、学生たちは、面識のない他の学生たちに、クイズに答えてもらい(これが「頼みごと」)、その正解するごとにポイントを獲得。
・ゲームの前に、学生たちに「面識のない学生はどのくらいの数のクイズに答えてくれそうか」や、「どのくらい頑張ってくれそうか」予想してもらった。→実際の結果と比べて、低く予想していたとのこと。
要は、頼みごとをする前に「どのくらい頼まれてくれそうか」を予想して、実際にやってみたところ、意外とみんな、「頼まれてくれたし、ちゃんとやってくれた」ってことです。
で、ボーンズさんは、他にもいろんな種類の実験をやっていて、それらを合わせて分析したところ、平均で約49%、「どのくらい頼まれてくれそうか」を、低く予想していたとのこと。
なので、本では、頼みごとをする側が思っているよりも約2倍、頼まれる側は助けたいと考えている。と書いています。
頼まれた側のメリット。誰かをたすけることで、
・いい気分になれる
・自分の感情が回復する
・幸福度が上がる
といったことがあります。
誰かを助けることは、自分が誰かに必要とされているという社会的な繋がりを確認することでもありますし、誰かをたすけられるという力が自分にあるということの証明にもなったりします。
なので、本の中では、「誰かに助けを求めることは、その相手に長期的なメリットを享受する機会を与えることでもあるのです。」と書いています。
「今、俺は相手に機会を与えてやってるんだー!」って考える必要は全くないですが、頼みごとをすることに過剰に申し訳なさを感じてしまう時は、頼まれる側にもメリットがあることを知っておくと少し、心が軽くなるのではないかと思います。
うまくお願いする方法。
基本は、人を動かすっていうより、「動いてもらう」って感じかなと。
いくら頼まれた側に、メリットがあるといっても、強制的にやらされたりすると、そのメリットは得られにくくなるとのこと。大事なのは、相手が「やらされた」と思うかどうかなので、自分ではそんなつもりがなくても、相手がそう感じてしまったら、うまくいきません。
で、うまく動いてもらうために必要な3つの要素が、
・仲間意識
・自尊心
・有効性
の3つ。
・仲間意識→チーム、会社などの集団があって、その集団内の同じ人に対しては、助けようとする動機が生まれやすくなる。理由の一つには、集団を守ることは、昔から人間が生存していく上で必要なことだったからというものがある。
なので、仲間意識をうまく使えると、頼みごとを聞いてもらいやすくなります。
そのためには、たとえば、お互いの「共通の目標に目を向ける」やりかたがあります。
・自尊心→人は自分は親切な人だとと思いたかったり、他に大切にしている自分認識がある。大事なことは、頼みごとを頼む相手が、自分自身に対してどんな自己認識を持っているかを探って、それを満たしてあげられるように頼みごとをすること。
たとえば、「親切なことをした」ではなく、「私は親切な人間だ」と感じることができれば、助ける動機や助けることで得られる充実感を高めることができる。
・有効性→これは自分が「頼まれる側」の時を考えるとわかりやすいです。自分が何か人にしてあげた時って、その後どうなったかって気になりませんか?
手伝った仕事がうまくいったのかどうか、教えてあげた店に対してどんな感想を持ったのかなど。
そういったお願いされてしたことの「有効性」がわかるようにしておくのも、頼むときには必要です。
たとえば、あらかじめ、「どんな助けが必要で、それが何に役立つのか」を明確に説明するとか、フォローアップ(その後どうなったか)をいつ伝えるかなどを決めておくといったことが有効だそうです。
まとめ
僕自身、なるべく自分で色々とやりたい、あまり人に頼りたくないってところがあります。
それは、結局自分のことしか考えてなかったのかなと。
1人の力ではできることは限られているし、何かの集団の一員だからこそ、その周りの人たちと一緒に行動をしていけると、よりいろんなことをすることができるし、それは、自分のためだけでなく、他の人のためになるんだなと思いました。