外国語学習。単語の意味の背景に興味を持って、なんでその意味になるのか、調べてみよう。

外国語を勉強するときに、知っておきたい、単語の意味の背景について書いてみたいと思います。これから勉強して、きちんと使えるようになりたい人にはぜひ知っておいて欲しいこと。

この記事では、単語の意味の深めかたや外国の人が日本語を使うときに起こる、なんでその単語をチョイス?っていうのが、ただ単に間違っているだけではないことを説明していきたいと思います。

単語を勉強するときに知っておいて欲しいこと

外国語を勉強するとき、当然、単語を覚える、ということをすると思いますが、そのときに大事なのが、ただ単に、意味を知るだけでおわらないこと。

日本語でもそうだけど、それぞれの単語はいくつかの意味を持つ場合が多く、また、その単語が使われるのに適した状況もあるので(同じ意味だとしても、かたい表現、くだけた表現、など)、それらも合わせて知ることが「正しく」その外国語を使うことにつながります。

最近読んだ『英語独習法』(今井むつみ 岩波新書)のなかでは、「スキーマ」という概念でそれらのことを解説していて、言語をつかっている、そこには意識されない知識というものがあるとのこと。

そこには次のものが含まれます。

①その単語が使われる構文

②その単語と共起する単語

③その単語の頻度

④その単語の使われる文脈(フォーマリティの情報を含む)

⑤その単語の多義の構造(単語の意味の広がり)

⑥その単語の属する概念の意味ネットワークの知識

(『英語独習法』(今井むつみ 岩波新書)、P53より引用)

このなかで、④や⑤の文脈、多義については、自分が外国語を勉強しているときにもやっていたことだったので、すごくわかりやすかった。他の項目も、説明を読んでいくと、言葉を使うときって確かにそういうことあるなってのが思い出されて、改めて、この本を読むことで、自分の普段意識していない知識っていうのを確認することができました。

ここからは、その④や⑤に当たると思われる、単語の意味の背景について自分なりにまとめてみたいと思います。

単語の意味の背景を知ったほうがいいと思う理由は、 日本語でもそうだけど、単語はいろんな意味を持つ。だから、和英辞書とかで、自分の言いたい日本語の単語を調べて、自分の知りたい単語が出てきたとしても、それが、「英語の世界」で実際に、自分が表現したいことを正しくしめすものかはわからない。

たとえば、「おもしろい」ってことを英語で言いたいとして、そのおもしろいが、funなのか、Interestingなのかってことでもちがってくる。

だから、意味を知るだけでなく、なんでその意味になるのか?っていう背景にまで気をつけることが必要。辞書の訳が「日本語で言いたいこと」とあっていれば、それで正解、なんじゃなくて。

背景を理解してないと起こること

単語の背景をわかってないで、意味を知っているだけ、だとコミュニケーションのなかで、へんなことが起こる。

たとえば『英語独習法』には、

「…中国からの留学生は『薬を食べるのを忘れました』とよく言う。」(P73)

という例がのっています。

これはなんで起きているのか?っていうと、

中国では「薬を飲む」ということを表現するときに、「単語A」を使う。「薬をAする」というように。 で、その人は、「単語A」が日本語ではなんというか?を調べてみた。すると日本語では「食べる」という言葉であることがわかった。

その人は会話の中で、「薬をAする」のを忘れた、と言いたかったので、「単語A」を日本語に変換。そして「薬を食べる」のを忘れた、と表現した。

これは、単語Aを、日本語で対応する単語で、シンプルに置き換えたために起きたこと。

もう1つ、僕の周りであったこと。

以前ブラジル人と食事中、彼が「これ、『Bom』だね」と。Bomはポルトガル語で「良い」という意味。そのあと、「Bomって日本語でなんていうの?」って聞かれたので、「食べものに対して、『良い』と言うとしたら、『おいしい』だね」って伝えた。

その何ヶ月か後に、そのブラジル人が、何か別のこと(洋服だったか、靴だったか…)に対して、「Bom」と言いたかった。彼のなかでは、Bom=おいしい、と覚えていたので、「それおいしいね!」と。

僕はもちろん、なぜ彼がそのモノについて、「おいしい」って言ったのかはすぐ理解できたけれど、他の人からしたら、なんでこの人はモノに対して「おいしい」って言ったんだろう?って感じだった。

これも、「Bom」の持ついろんな意味を、うまく日本語に置き換えられてなかったことや、「おいしい」に自分の表現したい意味があると認識していたことが原因。

こういった例からも、その外国語の単語が日本語だとどんな意味をなのか、を知りつつ、なんでその意味になるのか?ということを探っていくことが大切だと思う。

単語の幅の探りかた

探る方法として 『英語独習法』では、web辞書や、コーパスという、言語の研究のために、その言語をつかった文章をたくさん集めたものを使って、単語を深めていく方法が紹介されていた。まだ試せてないけれど、こんな風にその単語について掘っていけば、よりよく理解できるだろうなというやり方でした。

僕はこの本で紹介されているやり方ほど深くはないけれど、以前からやっていた方法があって、それを3つ、紹介させてもらえればと思います。順序で書いているけれど、きっちりその順番でやっているわけではなくて、そのときどきで変わります。なんでその意味になるのか、ってのを好奇心を持って調べてみるのがいいのかなと。

1つめ、単語の意味をみて、それを抽象化してみる。

単語を辞書でひくと、いくつか意味が出てくるので、「つまりどういうこと?」と考えてみること。その意味たちが持つ、共通のイメージってなんだろうなと想像してみる。

たとえば、ポルトガル語の「tomar」という単語。辞書を調べると、「取る、掴む、自分のものにする、飲む…」など、たくさん意味が。ブラジルでは、「シャワーを浴びる」ということも、tomarで表現するので、そうなってくると、いよいよわからない。

なので、なんでこういう意味になるんだろうと全体の共通のイメージってないかな?と考えてみる。

取る、掴む、自分のものにする、飲む、浴びる…

取る掴む自分のものにする、は、自分の方に持ってくるようなイメージかな、

飲む浴びるは、自分のなかに、何か、入ってくるイメージ(シャワーは実際には体の中には入ってこないんだけど…)。

こうやって、いろんな意味から、自分なりのイメージをつけてみると、単語を覚えやすくもなる。

2つめ、例文をたくさん見て、そこからその単語が使われる傾向をつかむ。

単語の意味だけでなく、意図をつかむこと。どんな感じで使われているかってのを知ること。

3つめ、実際にその単語を使う時には、それを含む短い文章を作ってみて、インターネットで検索してみる。

たとえば、さっきの「tomar」で言えば、tomarに「飲む」という意味があることは辞書でわかった。じゃあ実際「コーヒーを飲む」と表現するときに使うかどうかを「tomar cafe」と検索してみている、というかんじ。

それで、たくさんほかにも使っている人がいれば、使える単語だし、そうでなければ、たとえ辞書の日本語訳で、自分が表現したい意味を持っていたとしても、やめておく。違う言い回しを考える。このときに、グーグルの画像検索を使うことも1つで、ある単語を検索したときに、自分が日本語で言いたい意味を表す画像が出てこないときはやめておく。違う単語がないかを調べる。

これをはじめた理由

最初にポルトガル語を勉強し始めて思っていたのは、「単語が違うんだから、意味が同じなわけない」ってこと。だって、もし、同じだったら1つでいいじゃん、って。

あとは、よく和英、日葡辞書とかで調べると、いくつも候補が出てくる。そのたびに、何個も出てくるけど、それぞれに使われる場面とか、実際にその言語を使っている人たちが、その単語に持つイメージというのは違うんだろうなということを考えてから。

もう1つ思っていたのは、どの単語が一番失礼がないだろうかってこと。その単語を使ったことで、どういう意図が伝わるかってことがすごく気になってしまう。ただ意味が伝わるだけではなく、できるなら、よりよく伝えたいし、実際にその言語を使う人が話すように話したかったから。

そんな理由があって、調べることを始めました。調べるのにたくさん方法はあるけれど、大事なことは、その単語の背景に興味を持つこと。

おわりに

外国語学習をするときに、単語の学習は大事。その意味を知ることも大事なんだけど、なんでその意味になるのかって理由も一緒に覚えたい。なぜなら、その単語を使うようになったのには、どんな背景があるのかを知っておくと、使いこなすことができるから。

まずは気になる単語と出会ったら、それを使った例文を調べてみよう。いろんなサイトで、例文を見ることができる。そこから、その単語の背景を知って、よりよく外国語を使えるようになろう。

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