「SBホークスが『ファン目線の発信』に成功した訳」(東洋経済オンライン)という記事を読みました。記事によると、その「ファン目線の発信」を生み出しているのは、加藤和子さんという人の存在があった。もともと、福岡のテレビ局でスポーツキャスターをしていで、そこからSBホークスに、オフィシャルメディアの立ち上げ時から参加することになったそう。
加藤さんが球団に入ったのは2006年で、当時は色々な難しさ、女性が現場にいることや、「発信」に対する理解、があった。それが変わってきたのが2010年ごろ。状況が変わってきたのは、選手の間にもSNSを使っている世代が増えてきて、発信することや、撮影されることが受け入れられていった。
加藤さんは「だから、時間と時代だと思うんです。」と記事の中で話していて、そのオリジナルな考えが受け入れられるには、適切なタイミングを待つことも必要なんだなと。
この記事を読んで、発信することの良さってなんだろう、と考えてみました。
発信することは、好意を持ってもらえる可能性を増やすこと。
自分、もしくは今回のように他人やチーム、商品について、発信をしていくことは、それに対して、好意をもってもらえる可能性を増やすこと。好意を持ってもらえれば、より応援してくれたり、商品を手に取ってもらいやすくなる。
人間が好意を持つときの要素として、本『影響力の武器』ではいくつかの要素が挙げられています。それらが、次の要素。
・外見の魅力
・類似性
・お世辞
・接触と協同
(『影響力の武器[第三版]』、第五章「好意」、「あなたを好きになるのはなぜ?その理由を考えてみよう」の節)
こういった要素が、「好意」に関わってくるとのことなんですが、今回の記事のような「発信」することってのは、この要素の中の類似性や、接触と共同、ってところに関わってくるのかなと。
簡単にそれぞれの要素を説明すると、
類似性は、「似ている人を好きになる」ってこと。
接触は、「何回も触れると親しみを感じる」こと。
協同は、「同じ目標を一緒に達成すること」って感じ。
で、「発信」することは、これらの要素を、ファンや受け取る人たちに、感じてもらえる方法の1つとなんだろうなと思いました。
発信と「類似性」
自分と同じものを使っている人や、同じ考えを持っている人に好意を持つということは経験的にわかりやすいと思います。
でも、「同じものを持っていること」や「同じ考えを持っている」ということに気づくには、それが見えるようになっている必要があります。そこで役立つのが、「発信」。
たとえば、記事のように、野球のチームだった場合。試合が放送されば試合中の様子は見れる。その中で、類似性を見つけることができれば良いんだけれど、見つけられるものの範囲は狭い気がします。
でも、発信することで、より多くの類似性を見つけてもらえるチャンスができる。たとえば、練習以外の姿、普段の生活を発信すれば、もしかしたら、選手が同じアシックスのスニーカーを持っていることや、ユニクロのTシャツをきていること、コーヒーが好きなことがわかるかもしれない。何気ない会話から、「おんなじこと考えてた」ってこともあるかもしれない。
そうやって、「見える部分」を増やしていくことが発信にはできて、それは、発信をみてくれる人が、類似性を見つけられる可能性を増やすことでもある。
発信と「接触」
すごく簡単にいうと、「接触」は、たくさん触れているものには好意を持ちやすいということ。普段から見慣れているもの、使っているものには自然と愛着がわく。
発信することで、その接触の回数を増やしていける。試合の放送しかないとしたら、試合のある日しか、そのチームだったり、選手だったりってのに触れる機会はないけれど、発信をしていくと、そのチームや選手に触れる機会を多く作れる。
もちろん、それを、見てくれるかってことも関係してくるけれど、触れる可能性を増やすということにはつながる。
発信と「協同」
協同は、同じ目標に向かって一緒に何かをしたり、共通の体験をしたりすると、好意を持ちやすいということ。そういう意味では、今回の記事にある、「ハイタッチ動画」は、試合の勝利後、グランドからベンチに戻ってくる選手たちが行う、ハイタッチ、を擬似的に体験できることで、選手と共通の体験ができる。
あと、記事によると、その動画は、加藤さんの目線の高さで撮られているということで、ハイタッチという「選手と共通の体験」と、そのハイタッチに加わっている「加藤さんと共通の体験」ができるのかなと思います。
それは加藤さん自身のフォロワーが多いことにも繋がっている気がして、チームとファンをどうつなぐか、また、つなぐ存在として、どうあるかってことも大切なんだなと思いました。