ちがう文化を理解しようとする姿勢が外国人とコミュニケーションをとるときには大切。

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異文化理解力――相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養』(エリン・メイヤー,英治出版)を読みました。

ざっくりまとめると、人の言動にはそれぞれの国の文化からの影響があって、人と人との間で起こるコミュニケーションの問題は、その文化の違いから起きていることがある、ということを書いている本です。

著者はエリン・メイヤーさん。INSEAD(インシアード)というフランスやシンガポールに拠点があるビジネススクールの客員教授で、専門は組織行動学だそう。(参考 INSEAD、Wikipedia)

外国人と働く環境にいる人や外国に住んでいる人は、文化の違いがあるということだけでなく、それがその人の考え方にも影響があることを知っておくと、コミュニケーションの問題を解決するのに役に立つのではないかと思います。

僕はポルトガル語の通訳をしていて、日々「異文化」と触れ合っています。この本に書いてあることは感じてはいたものの、本を読み、改めて考えてみると、「文化の違い」からくるすれ違いってけっこうあるなーと思いました。

本の面白かったところは、文化の違いをカルチャーマップという図にして表現してくれているところ。これをみることで、自分の生まれた国や育った国と、他の国との間にある違いがわかりやすいです。違いを知ることで、どういうやり方をしたら、お互いが理解しあえるかってのを考えることができます。この記事はそんな本についてのメモです。

 

外国人と働いているけど、うまくコミュニケーションが取れない

外国語はしゃべれないけれど、うまくコミュニケーションがとれるか不安。

 

っていう悩みがある人にこの記事を読んでもらって、参考にしてもらえたらと思います。

目次

外国人とよりよくコミュニケーションをとるには、それぞれが持っている文化のちがいを知ること。

文化のちがいが人の言動に影響を与えていることもあるから、それをまず知ることが大切です。

まず書いておきたいのが、この記事で「あの国は〜だから、あの人は〜だ!」みたいに、考え方やどこかの国を否定しているわけではありません。本を読んで学んだ、それぞれの国にはこんな文化的背景があって、一般的に、こういうふうに行動したり、考えたりするよねってのを書いています。なので、誰かを悪く言ったり、どこかの国を悪く言ったりという意図はありません。それぞれに違いがあるってことを知って、どうやったらその違いがあるなかで、よりよくみんなで協働できるかってのを考えられればなと思っています。

で本題。

外国人と仕事をしているなかで、いろんな問題が起きると思います。

たとえば、「時間にルーズ」だったり、「すぐ人のことを悪く言ったり」「ちゃんと考えないで行動し始めちゃう」などなど…。

そういった問題は、その個人の考え方とか性格からくる部分もあるとは思いますが、その人が生まれたり育ったりした「国の文化」から受けている影響を考えてみようってのがこの本の中での話です。

ただ単に「なんでこの人は…」と考えるのではなく、その人の言動の背景にある「文化」を知ることで、お互いがよりよく働くための方法を考えることができます。

本では8つの項目で文化のちがいを分けている

本書では8つの項目でそれぞれの国の文化をマップ化。これを使って、自分の国と相手の国、また、相手の国とまた違う第三者の国との違いを知ることができます。

その項目は、

コミュニケーション

評価

説得

リード

決断

信頼

見解の相違

スケジューリング

の8つ。

個人的におもしろかった3項目について

1,コミュニケーション

2,リード

3,スケジューリング

コミュニケーション

それぞれの国でどうやって情報を伝えるか、という文化がちがう。

紹介されていたのが「ローコンテクスト」か、「ハイコンテクスト」かという分けかたです。

コンテクストというのは文の「前後関係」とか物事の「背景」という意味で、つまり

ローコンテクストのコミュニケーションとは、お互いが共通に持っている前後関係が少ない状態のなかでコミュニケーションをとっていくということ。

たとえば、ローコンテクストのコミュニケーションをとる国の代表としてあげられるのが、アメリカ。皆さんの中のイメージとしても「情報や自分の意見を伝えるときには明確に伝える」というのがあるのではないかと思います。

それは、アメリカという国の歴史がまだ数百年しかないことや、世界のいろんな国から人が集まっているということが影響しています。いろんな国から集まった人たちは、それぞれにちがう言語や歴史を持っている。それは「共通の背景」がほとんどないということでもあります。

そのことを前提としてどうコミュニケーションをとっていくかってのを行っている国なので、自分の考えだったり、情報だったりをはっきりと伝えるやり方をしているそうです。

ハイコンテクストの国の代表としては、日本。お互いの「共通の前後関係」があることを前提としてコミュニケーションが行われるので、いわゆる「空気を読む」ことが必要になります。

リード

リードっていう項目は、「組織」とその「リーダー」とがどういう関係になっているかっていう話で、大きく分けて「平等主義」と「階層主義」ってのに分かれます。

平等主義の国では、リーダーも他の人もみんな平等だと考える。みんなその組織の一員。だから、リーダーに反論することは特別なことじゃないし、上司の了承を得ずに行動することもある。

代表的な国が、デンマーク、オランダ、スウェーデンなど。

階層主義の国では、組織の中に権力の階層ができている。なので、リーダー(自分の所属している階層より上の人間)に「敬意を払う」ことが必要となる。

代表的な国が、日本、韓国、ナイジェリアなど。

スケジューリング

スケジューリングは、計画や予定についての話。「時間」に対する考え方の違いでもある。

ある国では予定した時刻の何分か前にはその場にいることが求められたり、ちがう国では決めた時間よりも遅れることが当たり前にあったりする。

本書の中でこのスケジューリングは「直線的な時間」と「柔軟な時間」という分け方がされていて、

○「直線的な時間」の文化を持つ国では、スケジュールは時間通りに進められる。時間の流れは直線的なので、始まりや終わりがきちんと決まってる。

代表的な国がドイツやスイス、日本など。

○「柔軟な時間」の文化を持つ国では、スケジュールが事前に決めた通りに動かないことがある。それは、その都度起こる問題に対して、柔軟に対応しているから。この文化を持つ国ではその国のルールや情勢が安定してなくて、変化が起こりやすい。なので、いろんなことを決めてから行動していくというよりは、都度起こる状況に対応していくことが必要だった。

代表的な国がサウジアラビア、ケニア、ナイジェリアなど。

このマップのつかいかた

このカルチャーマップ、そして文化の違いを知ってどうコミュニケーションに活用していくかっていう具体的な使い方は本書を読んで欲しいんですが、個人的に思ったのは「それぞれの違いを知って落とし所を見つけること」ができるといいかなと。

たとえば、自分が外国人と仕事をする。その人の国では、何か納得できないことがあったときは、「きちんと」相手に伝えることがいいとされている。でも、自分の国では、そういったことは避けられる。まずはこのちがいをあらかじめ知っておくこと。

そのうえで、自分が相手の文化にそってコミュニケーションをしていくのか、相手にこちらの文化にそって違うやり方をとってもらうのかっていうやり方を考える。

要は違いがあるってことに気づかずに、自分が影響を受けてきた文化からしか判断しないことが問題で、違いがわかって、「今回はこういうやり方でやりましょう」ってのをお互いが理解できればすれ違いは少なくできるのではないかと思います。

たとえ外国語が話せなかったとしても

また、外国人とコミュニケーションを取るってときに問題となるのが、言葉。

「外国語が話せないからうまくコミュニケーションが取れない」ってのはよくある話だと思います。

言葉はもちろん大事な手段のひとつであるのは間違いないです。しゃべれないよりしゃべれたほうがいい。

でも、通訳をしていて感じるのは「たとえ言葉を使えたとしても、相手のことを理解しようとしない人はうまくコミュニケーションができない」ということ。

実際に外国語はしゃべれるのに、うまく外国人とコミュニケーション取れてないなーって人を見かけることがあります。

それは、単に言葉が上手に喋れるとか喋れないとかではなく、いかに相手とコミュニケーションを取ろうとしているかだと思います。なので、反対に、たとえ外国語が話せなかったとしても、相手を理解しようとする人はうまくコミュニケーションを取ることができると思ってます。

本当に言葉だけの問題なんだったら、通訳アプリとか、色々方法はありますしね。

なので、もしあなたが外国人と同じ職場にいる、関わる機会があり、うまくコミュニケーションを取りたいと思うのであれば、今回の記事のような「ちがいがある」ってことを知るってことがひとつの助けになるかもしれません。

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