目的達成するために必要なことは、誰であれ、発言・行動できるといいよねってことについての本。

the_fearless_organization

恐れのない組織――「心理的安全性」が学習・イノベーション・成長をもたらす』(エイミー・C・エドモンドソン,英治出版)を読みました。

読もうと思ったのは、自分の思ったことを素直に言えるような組織っていいなーと感じていたのがきっかけ。で、本のタイトルの『恐れのない』ってのにひかれました。

本のざっくりとした中身としては、「組織にいる人たちそれぞれが、発言・行動できることが、現代において問題を解決していくには必要」ってことで、そのためのキーワードとして「心理的安全性」ってのが挙げられています。

「心理的安全性」というのは、またざっくりというと、「自分が組織で発言・行動しても、非難されたり、心理的に危険にさらされたりしない」ってことで、「安心して発言・行動できること」ってこと。

本では、いろんな組織が「心理的安全性」を欠いていたためにおきた失敗例や、逆に、「心理的安全性」が確保されている組織の例が載っていたり、そういった組織にはどんな要素が必要なのかっていう組織の作りかたも書かれています。

ここでは、その「心理的安全性」と、恐れのない組織のつくりかたについてメモしていきたいと思います。

目次

組織は目的達成のために人が集まってできた集団なんだから、その目的達成のために必要なことは発言できるといいねってこと。

○組織のなかで、それぞれの個人が自分の能力とか知識をよりよく活用していくためには、「恐れ」がないほうがいい。「恐れ」ってのは、自分が発言や行動したことによって自分が非難されたり、自分に害が及ばないってこと。

↓そのためには

○心理的安全性が確保されていること。

それがない状態だと、「これいったら怒られるかもしれないからやめとこう」とか、「これ言わなくても大丈夫か、言ってややこしくなるのもやだしな」って感じで、みんな気づいていても言わなくなってく。発言・行動していれば、防げたかもしれない失敗もある。

○みんなが発言・行動したりすることが必要なのは、失敗を未然に防ぐだけでなく、VUCAって言われる時代においては、新しい出来事に対応していくことが必要で、そのためにはアイデアが必要だったりするから。

→で、そのアイデアのためには「組み合わせ」が必要なんだけど、みんな自分の知識を持っていても出せないことが多い。ここでも、「自分が発言・行動することへの不安」がある。(ちゃんと聞いてくれないんじゃないかって不安とか)

○本の中で、恐れがあって、行動できなかった例として、いろんな組織での例が載っている。

例えば、NASAの2003年に起きたスペースシャトルの事故や2015年のフォルクスワーゲンのディーゼル規制の問題。

心理的安全性があって、言ったほうがいいことをちゃんと伝えられる組織ができていれば、そういった失敗も防げたのではないかとのこと。

◉この本に載っている事例が、「失敗」のことが多く、全体的に「いうべきことをちゃんと伝えられていれば防げたのでは」って感じになっているけど、それだけでなく、「新しいアイデア」に関してもそれを発表できる「心理的安全性」は必要だと思う。

フィアレス(恐れのない)な組織の作りかたの3つ。

①土台を作る

②参加を求める

③生産的に対応する

 

①土台をつくる。

仕事をフレーミングすること。

・失敗をリフレーミングする=失敗の捉え方を変える。

本書の例。ジェリー・モラスというミネソタ州の子供病院のCEOは、「病院のシステムの複雑さがミスを起こしやすくしている」という点に目を向けてもらうように伝えた→「ミスは個人の能力不足から起こるもの」という考えを変えてもらって、ミスについて安心して、発言・行動できるようにした。

また、失敗からは多くのことを学べるということなど、組織に所属する人が安心して失敗できるよう、またそれを共有できるよう伝えていく、そういう環境を作っていくことが必要。

目的を際立たせる

自分たちはなんのために存在するのか、なぜそういった作業が大切なのかを意識すること。より大きな目的・存在意義のために、自分が発言・行動することが大切だということを認識してもらう。

②参加をもとめる

→発言・行動しやすいしくみつくり

どうやって発言や行動してもらうか?というところ。

状況的謙虚さ→自分には知っていることもあるけれど、わからないこともある、という謙虚さを持つ。

グループを作る→ジェリー・モラスさんは、「患者の安全運営委員会」というチームを作って、病院内のあらゆる部署から人を集めた。

・その後、いろんなグループを作って、あらゆる部署の人が自分の経験とか、懸念を共有できるようにした。

→みんなが、考えを共有できるしくみを作った。

質問して引き出す→「自分たちに問題なんてない」って思っている人たちもいるので、そういうときは質問して、気づいてもらう。

→例えば、「今、自分たちの作業が完了できているか」ってこと聞くと、その作業に関しては問題なかったりするので、「その作業は自分たちの大きな目的を達成できているか?」っていう、もう少し大きな視点から、見れるように聞いてみる。

③生産的に対応する

=実際、発言・行動に対して、どう対応するか。

○感謝する→まず、発言・行動してくれたことに対して感謝する。敬意を表す。

○失敗は恥ずかしいものではないとする

○違反には適切に処置をする→「恐れなく、発言・行動できる」って言っても、なんでもいいわけじゃない。繰り返しの違反や、改善されないことがあった場合には適切な処置が必要。

おわりに

「フィアレスな組織のつくりかた」のところなんかは特に、組織のリーダーとしての視点での話になっていたけれど、本には、心理的安全性を作ることに関して「...リーダーになるのに、上司である必要はない…」と書かれています。

みんなが発言できる、行動できる環境・空気を作るのにリーダーというもの必要だけれど、それは必ずしも「上司」である必要はないということ。

つまりは、自分が今いるグループであったり、一緒に現場で働く人の中でもこういった環境・空気は作れるということ。

もちろん自分の周り、そこだけで、組織全体の問題が解決できるということでもないと思いますが、まずは自分の周りからでも、「心理的安全性」をつくり、自分がそういう環境のなかにいられるようにしていきたいなと思いました。

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